DLSI研究者紹介

下村 健寿(シモムラ ケンジュ)

下村健寿

福島県立医科大学 医学部(生命科学・社会医学系)
病態制御薬理医学講座 主任教授

略歴

1997年 福島県立医科大学医学部 卒業
1997年 群馬大学医学部附属病院 旧第一内科入局
2004年 群馬大学医学部内科学大学院 卒業 医学博士取得
2004年 英国オックスフォード大学生理学講座(OCGF) 専任研究員
2012年 自治医科大学生理学講座 講師
2014年 福島県立医科大学 腫瘍生体エレクトロニクス講座 特任教授
2015年 福島県立医科大学 医療エレクトロニクス研究講座 主任教授(兼任)
2017年 福島県立医科大学 病態制御薬理医学講座(旧・薬理学講座) 主任教授

主な研究内容

「糖と脳機能の関わり」を軸とした、糖尿病や認知症などの病態制御に関する研究。

  1. 新生児糖尿病と「K(ATP)チャネル」の研究(最大の世界的業績)
    英国オックスフォード大学の正式研究員として、世界的な生理学者フランセス・アッシュクロフト教授のもとで8年間研究に従事しました。治療法の発見への貢献:細胞の膜にある「K(ATP)チャネル」の異常が原因で起こる新生児糖尿病の治療法(インスリン注射ではなく、経口薬であるスルホニルウレア薬を投与する治療法)の発見に大きく貢献しました。DEND症候群の治療効果を報告:新生児糖尿病の最重症型であり、発達遅滞やてんかんなどの脳神経症状を伴う「DEND症候群」において、薬物治療が脳神経症状にも有効であることを世界で初めて報告しました。この論文は米国神経学会誌『Neurology』の重要な論文(Editorial)に選ばれ、オックスフォード大学メリット賞を2度受賞しています。
  2. 「糖毒脳」と認知症予防(脳と糖の専門家としての研究)
    日本に帰国後は、過剰な糖の摂取が脳に与える悪影響(インスリン抵抗性や認知機能の低下)についての研究や発信を積極的に行っています。「糖毒脳」の提唱:アルツハイマー病が「第3の糖尿病」とも呼ばれることに注目し、過剰な糖がインスリン分泌の異常を招き、脳を蝕んでいく病態を解説しています。運動による脳の保護メカニズム:運動によって脳内に分泌されるBDNF(脳由来神経栄養因子)が海馬の神経細胞を強化する仕組みや、ふくらはぎの「ヒラメ筋」を動かすウォーキングがインスリンを介さずに効率よく血糖を消費し、脳を糖の毒から守るという医学的インフラを提唱しています。
  3. 生活習慣病(肥満・2型糖尿病)とインスリン分泌
    新生児糖尿病のような遺伝性の疾患だけでなく、現代人に多い生活習慣病の研究も行っています。膵臓からインスリンが分泌されるメカニズムや、肥満・2型糖尿病の発症プロセスを、分子レベル(チャネルやネットワーク)および脳機能の観点から包括的に解明しようとしています。

前島 裕子(マエジマ ユウコ)

前島裕子

福島県立医科大学 医学部(生命科学・社会医学系)
病態制御薬理医学講座 准教授

略歴

2001年3月 日本獣医畜産大学卒業
2003年3月 宇都宮大学 大学院農学研究科 修士課程修了
2006年3月 東京農工大学農学博士取得
2014年9月 福島県立医科大学, 医学部, 講師
2017年4月 福島県立医科大学, 医学部 病態制御薬理医学講座, 准教授
2023年9月 オックスフォード大学生理学講座客員研究員

主な研究内容

「オキシトシン」などの生理活性ペプチドを用いた、食欲調節・肥満・老化(アンチエイジング)のメカニズム解明と治療法開発。

  1. オキシトシンによる抗老化・寿命延伸作用
    "愛情ホルモン"とも呼ばれるオキシトシンが、老化を抑制する分子経路を発見しました。加齢マウスへのオキシトシン投与がDNAメチル化除去酵素(TET酵素)を促進し、エピジェネティックな「若返り」をもたらすことを国際誌『Aging Cell』等で発表しています。
  2. 食欲調節と新たな肥満治療法の開発
    オキシトシンの効果を高める新たな肥満治療法などを研究しています。脳内のミクログリアや代謝システムが、どのように食欲や体重をコントロールしているかを薬理学・生理学的なアプローチから解析しています。